2015年8月3日 更新

【アロマオイルの選び方】同じアロマオイルなのに値段が違う!価格の差に違いがあるのはなぜ?

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市井真太郎

今までアロマオイルってとても高いイメージがありませんでしたか?ところが最近、インターネットや百円均一ショップではアロマオイルという名前で低価格なものが販売されています。
例えば、某有名アロマ製品販売店のラベンダーアロマオイルは10ml 2,500円。一方でインターネットの某小売店では同量が500円で販売されています。いったい、アロマオイルの値段の差にはどのような違いがあるのでしょうか?

【アロマオイルの選び方】同じアロマオイルなのに値段が違う!価格の差に違いがあるのはなぜ?

100%天然の精油であるかが大切

アロマオイルとひとことで言っても、実はたくさんの種類があります。大きく分けると、精油と精油では無いものに分けられます。

<精油>
精油とは、天然の植物からのみ抽出されたものです。
■ピュアナチュラル・・・100%天然のアロマオイルのこと
■オーガニック・・・ピュアナチュラルの中でも、有機栽培の基準を満たしたアロマオイル
こんなキーワードを目印に選んでみると良いかもです!

一般的には水蒸気で蒸留したものや、果実を潰して抽出する方法があります。ローズやジャスミンなどお花の成分は熱に弱いため、溶剤を使って化学的に抽出します。

<偽和>
偽和とは香りが似た精油を混ぜたり、アルコールなどで希釈しているもの、石油由来の合成成分を混ぜてカサ増ししているニセモノのことです。
例えば、ローズに似た香りのするパルマローザやゼラニウムなどを使って、ローズとして販売しているケースが過去に見られました。
このように、精油かそうじゃないものかがひとつの見分け方です。しかし最近では偽和のアロマオイルが低価格ショップで多く見られます。特にインターネットでは、とても多くのニセモノがあるので注意が必要です。

ニセモノのアロマオイルを販売しても良いの?

結論としては問題ないようです。『アロマ(風)オイルは精油ではない』ということから、商品表記に「アロマ風オイル」とか「アロマの香りを楽しむ」など、精油という表記をしていなければ現状は堂々と販売されています。

このようなことが起きるのは、日本国内でのアロマオイルの認識がまだまだ浅いことが原因です。日本にアロマテラピーという言葉が使われるようになったのはたった30年前。まだまだ最近のこと。アロマオイルはフランス、ドイツなどの海外では医薬品同様に扱われ、薬剤師が処方するような国もありとても安心できます。しかしアロマ後進国である日本では「雑貨」として扱われています。そのためニセモノも「雑貨」として堂々と販売されているのです。「雑貨」なので、多少アルコールが入っていようが、石油由来の合成物が入っていようがお構いなしです。目や口に入れるわけでもないので誰も被害を受けませんし、法的にも問題はないようです。

では、どうやって「雑貨」の中から、正しい精油かそうじゃないかを見分けるのでしょうか。ポイントは「成分分析表」という血統書があるかどうか。成分分析表とは、配合されている化学成分が何パーセント入っているかということを説明しているものです。この分析表があるメーカーはある程度安心していいといえるでしょう。

精油同士に値段の違いがあるのはなぜ?

次に「精油」同士でも値段に違いがあるのはなぜなのか、を考えてみます。

<植物の種類>
ローズで考えてみるとわかりやすいです。ローズアロマオイルを1g(1ml)作るのに、バラの花びらだけでも約5kg程度が必要といわれています。
一方でペパーミントやラベンダーなどは、アロマオイル1g(1ml)作るのに約1.5kg程度で完成するため、価格も安価なケースが多いです。

<原産国>
同じ種類の精油でも生産国やメーカーによって値段に違いがあります。先程の例であげたラベンダーも、原産国によって人件費や流通経費が違います。外国の農場などはとても広く、大量生産しているためかなり安く生産できます。一方で国内生産の場合は、人件費も高く物価も高いため、価格に差がでます。

抽出箇所と抽出方法にも違いがある!

<抽出箇所>
ラベンダーの場合、一般的には花から抽出しますが、花・茎・葉などすべてを蒸留機械に入れてたくさんの量を取り出す方法もあります。つまりアロマオイルの抽出方法や、抽出箇所にはルールがありません。たくさんの原材料を使った方がたくさんのアロマオイルが取れるということです。花の部分は香りが高いですが、茎や葉は渋みがあるため、製品の香りが一般的に多少悪くなります。

ここからが面白いのですが、香りが多少ハーブっぽくなっても、葉や茎にしか配合されていない有効成分を「敢えて混ぜる」というやり方もあります。
アロマオイルの用途は、アロママッサージなどが一般的。その際は少しでも効果が高い方がいいわけなので、香りのバランスを考えながら、花・茎・葉をうまくミックスします。同じ種類のラベンダーでもメーカーごとに違う値段や違う香りになる理由は、このブレンド比率と抽出方法がもっとも大きいのです。

<抽出方法>
例えば、柑橘系のグレープフルーツ。抽出する方法は2つあります。圧搾法(ぎゅっと絞る方法)と、水蒸気で蒸留する方法です。

◆圧搾法
圧搾法はとてもシンプルで、安く採油することができます。しかし、「皮についたゴミ」も一緒に混ざってしまうため、皮膚刺激につながるリスクがあります。

◆水蒸気蒸留法
水蒸気蒸留法は、不純物が入らず安定的に採油できます。しかし熱を加えるため、多少成分劣化が進みやすいので低温で採油することが必要です。低温蒸留には大きなコストがかかるので、最終的な製品価格が高くなりやすいです。

それぞれの香りをよーく嗅ぐと違いに気付くことが多いです。

正しい知識は自分自身で身につける

価格の違いには、上記のような様々な要因が複雑に重なり、それに加えメーカーのブランドや人件費、流通コストなども乗っかることで生まれます。たとえ、成分分析表がついていたとしても、この成分分析表自体が偽造・転用されているケースもあります。ここまできたら、一体何を信用すればいいのか?と思いますよね。本当に良い商品かどうかを見分けるには実は、私たちの目や鼻を鍛えたり、情報収集の努力が必要になります。購入時点では安全な精油でも、保存方法や使用期限を守らないと結局香りが劣化したり、皮膚にトラブルを起こすこともあります。

近年、アロマテラピー検定が大きく会員数を増やしています。背景として、本物を見分けたい、正しく使いたいという方が増えていることが一因かと思います。自分の鼻を鍛えて、本物を見分ける目と情報収集する耳を鍛える。アロマテラピーを通じて、自然本来の花の香りを嗅ぎ、初めてその製品である精油を区別しできると思います。この夏、自然の中に行く機会があれば、ぜひ花や葉、木の香りを嗅ぎ、鼻を鍛えて精油と一緒に楽しんでくださいね

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この記事を書いたライター

市井真太郎
香りに関わることが大好き。
”無いものではなく、あるものに目を向けよう”をテーマに和のアロマを開発中。アロマテラピーに興味を持って頂けるように日々勉強しています。

市井真太郎さん

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